国際バカロレア(International B accalaureate:IB )とは、国際的な視野を持った人材の育成 を目的としてスイスで生まれた教育プログラムであり、4 つのプログラムから構成されてい る。日本政府は、グローバル人材育成のための教育改革の一環として、この 4 つのプログラ ムのうち、日本の高校 2・3 年相当であるディプロマプログラム(D iploma Programme)の国 内普及に取り組んでいる。IB の実施においては、学校図書館の活用が重視されるため、海 外では IB 認定校の学校図書館の機能を明らかにする研究が多く見られる。しかし、国内で は IB のカリキュラム自体に関する研究が中心で、学校図書館に着目した研究は見られない。 その結果、国内 IB 認定校における学校図書館運営の現状も明らかにはなっていない。
ついては、日本の IB ディプロマプログラム(以下、D P)認定校における学校図書館運営 の現状と課題を明らかにすることを本研究の第一の目的とした。さらに、明らかとなった運 営の現状を踏まえ、日本の D P 認定校を支える学校図書館の役割や、求められる働きについ て検討することを、本研究の第二の目的とした。上記の目的を達成するため、まず国内 DP 認定校の学校図書館 14 校を対象に、郵送にて質問紙調査を行った。次に、質問紙回答校 11 校から 2 校を選定し、半構造化面接法による聞き取り調査を行った。
調査の結果、第一に、多くの D P 認定校の学校図書館が、授業支援サービスを提供してい ることが示された。具体的には、授業内容に関連した資料提供が中心となっている。また、 授業支援サービスは IB 教員から依頼があった場合のみ実施されていた。例えば、「エコハウ スに関する資料を集めてほしい」や「図書館の短歌に関する資料を紹介してほしい」などの 依頼事例が存在した。第二に、多くの D P 認定校の学校図書館が IB教員と何らかの形で連 携・協力を行っている一方、現状の連携・協力の在り方に課題を感じているケースが多いこ とも示された。具体的には、各校において図書館が備えている機能やその活用法が IB 教員 に周知できておらず、その結果、IB 教員側の図書館へのニーズも把握できていなかった。 日本における高等学校への D P 導入は、既存の日本における教育を再評価し、新しい教育 の在り方を模索する契機となることが期待されている。しかし、現状は 1 つの学校内に既存 の教育を受ける生徒と IB 教育を受ける生徒が並存している場合が多い。このような状況の 中で、日本の D P 認定校を支える学校図書館が担う役割は、まず図書館が備えている機能や その活用法に関する情報を自校の IB 教員に向けて積極的に発信すること、そして各校の IB 教育において図書館を活用する具体的な方法を IB 教員とともに検討し、実践することであ る。その上で、IB の教育を受ける生徒に対する実践を既存の教育を受ける生徒に還元し、 新しい日本の教育の在り方を模索する一助となる働きが求められる。
(指導教員 溝上智惠子)